1. はじめに
応急処置は、子どもたちがけがや急病に見舞われた際に迅速かつ適切に対応するために重要です。このマニュアルは、保育園看護師が応急処置を行う際の手順と注意点を提供しています。
2. 応急処置の基本原則
- 落ち着いて行動する: けがや急病が発生した場合、まずは落ち着いて状況を確認し、迅速かつ冷静に対応します。
- 安全の確保: 応急処置を行う前に、周囲の安全を確保し、自分自身や他の子どもたちが危険にさらされないようにします。
- 緊急連絡: 必要に応じて、速やかに緊急連絡先(救急車、保護者など)に連絡します。
3. 擦り傷の手当て
出血の確認と止血
- 状況確認: まず、傷口の出血状況を確認します。出血が多い場合は、迅速に対応します。
- 圧迫止血: 清潔なガーゼや布を使用して傷口を圧迫し、出血を止めます。圧迫は5分〜10分間続け、血が止まるまで行います。
- 出血が止まらない場合: 圧迫しても出血が止まらない場合は、すぐに医療機関へ連絡し、適切な処置を受けるようにします。
傷口の洗浄
- 流水で洗浄: 傷口を水道水で洗い、土や砂などの異物を取り除きます。傷口をこすらず、優しく洗浄します。
- 石鹸の使用: 必要に応じて、軽く石鹸を使って周囲の皮膚を洗います。ただし、石鹸は傷口には直接使用しないように注意します。
創傷被覆材の適用
- 絆創膏の適用: 傷口または被覆材にワセリンを塗り、清潔な絆創膏やドレッシング材を傷口に当てます。ガーゼは傷口全体を覆うように配置します。傷が大きい場合は、包帯を使用して固定します。
- 交換頻度: 1日2~3回(入浴後、朝、日中)
- 終了目安:上皮がしっかり形成されてきたタイミングで湿潤療法は終了です。(1~2週間)
記録と連絡
- 傷の記録: けがの詳細を記録します。記録には、けがをした児童の名前、日時、場所、けがの種類、応急処置の内容を含めます。
- 保護者への連絡: 通院レベルのけがの場合は、保護者に速やかに連絡し、けがの状況と応急処置の内容を伝えます。
4. 捻挫・骨折の現場での応急処置(RICE処置)
4.1 捻挫の応急処置
- 安静: ねんざをした部位を安静に保ち、動かさないようにします。子どもを安全な場所に座らせるか臥床させます。
- 冷却: ねんざした部位に氷嚢や冷湿布を当て、腫れを軽減させます。冷却時間は15分程度を目安にし、1時間ごとに繰り返し3クール行います。
- 圧迫: 弾性包帯でねんざ部位を軽く圧迫し、腫れを抑えます。包帯はきつく巻きすぎないように注意します。
- 挙上: ねんざした部位を心臓の高さよりも高く上げて、血流を減少させ、腫れを抑えます。
4.2 骨折の応急処置
- 動かさない: 骨折が疑われる場合は、患部を動かさないようにします。安静に保ち、無理に動かさないように子どもに伝えます。
- 傷の処置:傷の手当てを先に行う。
- 固定: 骨折部位を固定するために、応急的なスプリントや板を使用します。固定具がない場合は、板や傘、定規などを使って骨折部位の上下関節を含めて副木で固定します。包帯は、副木が動かない程度の強さで巻きます。
※骨折部位が屈曲している場合は、そのままの状態で固定します。 - 冷却: 骨折部位に氷嚢や冷湿布を当て、腫れを軽減させます。直接氷を肌に当てないように注意します。
- 緊急連絡: 開放骨折は重症のためすぐに救急車を呼び、専門医の診察を受けるようにします。保護者にも速やかに連絡します。
記録と連絡
- けがの記録: けがの詳細を記録します。記録には、けがをした児童の名前、日時、場所、けがの種類、応急処置の内容を含めます。
- 保護者への連絡: 保護者に速やかに連絡し、けがの状況と応急処置の内容を伝えます。
4.3 受診後の回復に向けて
ねんざや骨折(POLICE処置)
- P: Protection(保護)
- 怪我をした部位を保護し、さらなる損傷を防ぐために、適切なサポートや器具を使用します。
- OL: Optimal Loading(最適な負荷)
- 怪我の回復を促進するために、適度な負荷をかけることが重要です。完全な安静ではなく、専門家の指導のもとで軽い運動やリハビリを行うことで、筋肉や関節の機能を維持し、回復を早めます。
- I: Ice(冷却)
- 怪我をした部位を冷やし、炎症や腫れを軽減します。
- C: Compression(圧迫)
- 怪我をした部位を適度に圧迫し、腫れを抑えます。
- E: Elevation(挙上)
- 怪我をした部位を心臓より高い位置に上げておきます。クッションや枕を使用してサポートし、血液の循環を促進し、腫れを減少させます。
- 怪我をした部位を心臓より高い位置に上げておきます。クッションや枕を使用してサポートし、血液の循環を促進し、腫れを減少させます。
4.4 POLICE処置の手順
- 保護: 怪我をした部分を保護し、サポーターや副木を使用して安定させます。動かさないように注意します。
- 最適な負荷: 怪我の程度に応じて、専門家の指導のもとで軽い運動やリハビリを行います。完全な安静ではなく、少しずつ負荷をかけていきます。
- 冷却: 氷嚢や冷たい湿布を使用して、20分間冷やします。1時間おきに3クール繰り返します。
- 圧迫: 弾性包帯を使用して適度に圧迫します。強すぎないように注意し、血流を阻害しないようにします。
- 挙上: 怪我をした部分を心臓より高い位置に上げておきます。クッションや枕を使用してサポートします。
4.6 POLICE処置の利点
- 早期回復の促進: 適度な負荷をかけることで、筋肉や関節の機能を維持し、回復を早めます。
- 再発防止: 最適な負荷をかけることで、再発を防ぎ、怪我の予防に繋がります。
5. 熱中症の対応
熱中症の兆候と症状
- 初期症状: 頭痛、めまい、吐き気、倦怠感、発汗の異常(過剰または不足)尿量減少、顔面紅潮、元気がない、など。
- 進行した症状: 急激な体温上昇(39℃以上)、意識障害、けいれん、呼吸困難、チアノーゼなど。
熱中症の応急処置
- 涼しい場所へ移動: 子どもを日陰や冷房の効いた室内などの涼しい場所へ移動させます。
- 水分補給: 意識がはっきりしてきたら、少量ずつ冷たい水・麦茶・経口補水液を飲ませます。急に大量の水を飲まないように注意します。
- 冷却: 衣服を緩め、冷たいタオルや氷嚢で脇の下や首筋、足の付け根などを冷やします。皮膚を濡らして扇風機やうちわを使って体を冷やすのも有効です。
- 衣服の調整: 余分な衣服を脱がせ、通気性の良い状態にします。
- 全身状態、意識確認:呼びかけに応じるか確認する。進行した症状が見られる場合は、急いで受診するか、救急車を呼ぶ。
緊急対応
- 症状が改善しない場合: 上記の応急処置を行っても症状が改善しない場合、すぐに救急車を呼びます。
- 重篤な症状がある場合: 意識障害、けいれん、呼吸困難などの重篤な症状が見られる場合も、直ちに救急車を呼びます。
- 保護者への連絡: 保護者に速やかに連絡し、熱中症の状況と応急処置の内容を伝えます。
記録と連絡
- 熱中症の記録: 熱中症の詳細を記録します。記録には、発生日時、場所、症状、応急処置の内容を含めます。
- 保護者への連絡: 保護者に速やかに連絡し、熱中症の状況と応急処置の内容を伝えます。