1. 早期発見と治療の重要性
子どもの視力は生後から発達していきますが、屈折異常や斜視などの要因によって発達が阻害されることがあります。これが弱視と呼ばれる状態で、視力が低下し、眼鏡やコンタクトレンズでも矯正が難しい状態です。弱視は6歳頃までに治療を行わなければ、生涯にわたって視力は改善されません。そのため、保育園や幼稚園、そして就学時における視力検査は、弱視を早期に発見し、治療につなげるために非常に重要な役割を果たしています。
視力検査の目的は、子どもの視力の問題を早期に発見することです。視力検査は裸眼視力を測定し、眼鏡やコンタクトレンズを使用している場合でも、日常生活での視力状態を把握することができます。視力検査では、0.3、0.7、1.0の3つの視力基準に基づいて判定されます。保育園や幼稚園、そして就学時の健康診断における視力検査は、スクリーニングの役割を果たし、最終診断ではありません。
保育園での視力検査は、子どもたちの健康管理に欠かせません。早期の弱視治療は、視力の発達と成長に重要な影響を与えます。視力の問題を早期に発見し、適切な治療を行うことで、子どもたちは健康な視力を維持し、学習や日常生活を十分に楽しむことができます。
保育園看護師として視力検査の重要性を理解し、子どもたちの視力の健康管理に貢献していき、保護者とのコミュニケーションを通じて、視力検査の結果を適切に伝え、必要なサポートを行うことが大切です。
2. 準備物と必要な道具
- 視力表(ランドルト環やひらがな視力表など)
※ランドルト環を用いての視力検査が難しい場合は、◯✖️△を使用する。 - 遮眼子(おたま型のもの)
※ディスポ斜眼子では無い場合は、一人一人必ずアルコール綿で拭く。 - 眼帯やティッシュとガーゼテープ
- 消毒用アルコールと綿棒
- 記録用紙とペン
3. 視力検査の手順
- 準備:
- 道具の準備と消毒を行います。
- 子どもを落ち着かせ、検査の目的と手順を簡単に説明します。
- 検査の実施:
- 遮眼子や眼帯、ティッシュとガーゼテープを使い、片目ずつ隠します。
- 視力表を使って、子どもに見える方向や文字を答えさせます。
- 片目ずつ検査を行い、左右の視力を記録します。
- 1〜2分で終わらせます。
- 結果の確認:
- 異常が見られた場合は、再度確認検査を行います。
- 必要に応じて、眼科健診の際に医師に相談します。
4. 子どもへの対応方法
- 子どもが緊張しないように、優しく声をかけます。
- 遊びの要素を取り入れ、検査を楽しいものにします。
- 子どもの発達段階に配慮し、無理をさせないようにします。
5. 視力検査結果の記録と報告
- 結果は記録用紙に正確に記入します。
- 保護者に対して、検査結果と今後の対応について説明します。
- 必要に応じて、保育園の管理者にも報告します。
6. よくある質問と対策
- 質問: 眼帯がうまく装着できない場合はどうするか?
対策: ティッシュとガーゼテープを使用し、シンプルな方法で対応します。 - 質問: 視力検査中に子どもが不安を感じる場合は?
対策: 優しく声をかけ、短時間で終わるようにします。
7. 眼科健診
<必要物品>
・ペンライト、ペーパータオル、消毒、ディスポ手袋
※必要物品は医師によって異なるため、事前連絡の際に確認します。
<所要時間>
・80人ほどで20分(看護師1人)
<当日>
・健診は、立位または椅座位で受けます。
・健診前に、保護者からの情報、日常生活で気になるところ、事前に行った視力検査の結果を伝えます。
・検査結果を記録し保護者へ配布します。