保育園看護師マニュアル|新人が押さえたい仕事内容と実務
保育園看護師の仕事は、日々の健康観察だけでなく、健診・けがや急変への対応・感染症対策・アレルギー対応・与薬管理・保健指導・書類作成まで幅広く、園によって担当範囲も大きく異なります。特に1人配置の園では、「何から手をつければよいか分からない」と感じやすいものです。このページでは、PICBO運営者が保育園看護師として実際に作成・使用した業務マニュアルをもとに、新人がまず押さえたい仕事内容を整理します。各業務の詳しい実務は、PICBOの専門記事で確認できるようリンクしています。
現場の経験をもとに再構成しています
この記事は、PICBO運営者が保育園看護師として実際に作成・使用した業務マニュアルをもとに、2026年時点の公的情報を確認しながらWeb版として再構成しています。園の規模・体制・自治体の運用によって業務範囲は異なるため、実際の対応は勤務先の既存マニュアルと最新の公的ガイドラインに合わせてください。
このページの使い方
保育園看護師の主な仕事内容
まずは業務の全体像です。各項目から詳しい説明へ移動できます。
新人の保育園看護師が最初に確認すること
就業直後にまず把握したい項目です。園の既存マニュアル・自治体の運用を出発点にします。
緊急時の体制
- 園の緊急時対応フロー
- 119番通報の手順と連絡担当
- 園長・主任等への報告体制
- AED・救急物品の場所
- 園医(嘱託医)・連携医療機関
配慮が必要な園児
- アレルギー児と原因・症状
- エピペン等の緊急薬の有無と保管場所
- 基礎疾患・既往歴のある園児
- 与薬対象児と園の与薬方針
- 予防接種歴・罹患歴の管理方法
保健業務の予定・様式
- 健診・身体測定の予定
- 感染症発生時の対応手順
- 事故・けがの報告方法と様式
- 保健書類(保健日誌・記録類)の様式
- 年間保健計画・年間保健指導計画
- 保健指導の予定
- 職員への情報共有の方法
すべてを看護師が単独で担うとは限りません
園児の健康管理
健康観察は体温だけでなく、普段との違いを含めて多面的に見ます。
子どもの健康管理と安全確保は、保育園看護師の中心的な役割です。健康観察では、体温だけに頼らず、次のようなポイントを総合的に見ます。
- 普段との違い(いつもと様子が違わないか)
- 活気・機嫌
- 顔色・表情
- 呼吸の様子
- 食欲・水分のとり方
- 嘔吐・下痢の有無
- 発疹・皮膚の状態
- 睡眠の様子
- 痛み・不快の訴え
- 外傷の有無
- 保護者からの申し送り情報
- 保育士が気づいた変化
降園の基準は園のルールに従います
健康診断・身体測定
準備 → 実施 → 記録 → 保護者共有 → フォローの流れで進めます。
準備
- 日程調整・園医との連絡
- 保護者への通知
- 必要物品・記録用紙の準備
- 会場の準備と動線の確認
- 子どもへの事前の説明
実施
- 身長・体重などの身体測定
- 内科・歯科・眼科・耳鼻科等の健診(園の実施内容による)
- 医師の補助
- その場での記録
記録・共有・フォロー
- 結果を園の様式へ記録・整理
- 保護者への結果通知
- 再検査・受診が必要な場合のフォロー案内
- 継続的な健康管理への反映
健診の時期・回数・項目は最新の法令等で確認
けが・急変時の応急対応
安全確保からはじめ、記録・再発防止までを一連の流れで行います。
自分・子ども・周囲の安全を確保する
まず二次被害を防ぎます。危険な場所なら安全な場所へ移し、周囲の子どもの安全も確保します。
子どもの状態を確認する
意識・呼吸・出血・けがの部位や程度など、状態を落ち着いて確認します。
必要な応急対応を行う
園のマニュアルと最新の公的情報に沿って、その場で必要な応急対応を行います。
緊急性を判断し、119番・医療機関等へつなぐ
緊急性が高いと判断したら、ためらわず救急要請します。判断に迷うときも園の基準に沿って早めに動きます。
園長等へ共有する
状況と対応を園長・主任等へ速やかに共有し、園として対応します。
保護者へ連絡する
事実・園で行った対応・現在の状態・次に必要な行動を、分かりやすく伝えます。
記録する
発生から対応までの経過を、時系列で正確に記録します。
再発防止につなげる
発生要因を振り返り、環境や手順の見直しなど再発防止につなげます。
事故・緊急時の記録項目
- 発生時刻
- 発生場所
- 発生時の状況
- 子どもの状態
- 行った応急対応
- 誰が確認・対応したか
- 園長等への報告時刻
- 保護者への連絡時刻
- 医療機関等への連携内容
- その後の経過
具体的な応急処置は最新の一次情報で確認
重大事故を防ぐための安全管理
睡眠・食事・水遊びなど、重大事故が起こりやすい場面を中心に確認します。
睡眠中
午睡中の窒息・うつぶせ寝のリスク。仰向けでの睡眠と、定期的な呼吸・体位の確認が重視されます。
食事・誤嚥・窒息
食材の形状や食べ方に注意し、食事中は目を離さない体制をとります。詰まりやすい食材は特に配慮します。
水遊び・プール
監視に専念する担当を分けること、緊急時の役割分担を事前に決めておくことが重要とされます。
転倒・転落
遊具・段差・家具などの環境を点検し、危険な箇所を減らします。
園内環境・玩具
誤飲につながる小さな部品や破損した玩具がないか、日常的に点検します。
園外活動
散歩・園外活動時の人数確認、交通・周囲環境の安全確認を行います。
事故防止は園全体の仕組みで
感染症対策
日常の予防と、発生時の対応の両面から取り組みます。
手洗い・衛生習慣
子ども・職員の手洗いなど、日常的な衛生習慣を園全体で整えます。
環境衛生
玩具や共用部分の清掃・消毒を、園のルールに沿って行います。
日々の健康観察
体調変化の早期把握で、感染拡大の予防につなげます。
発生時の対応
感染症が発生したら、園のマニュアルと公的ガイドラインに沿って対応します。
保護者への情報提供
流行状況などを、園の方法で保護者へ分かりやすく伝えます。
職員への教育
嘔吐処理や標準予防策など、職員が共通して動けるよう共有します。
消毒・対応の方法は最新ガイドラインで確認
予防接種歴・罹患歴の管理
入園時などに接種歴・罹患歴を確認し、感染症対策の基礎情報にします。
- 入園時・進級時などに予防接種歴・罹患歴を確認する
- 母子健康手帳などの記録で確認し、不明点を整理する
- 新たな接種報告があれば記録を更新する
- 感染症発生時に対象児の接種歴・罹患歴を確認する
- 接種状況が不明な場合は、公的資料をもとに中立的に情報提供する
- 職員自身の予防接種歴・罹患歴の確認にも関わる
アレルギー対応
医師の診断に基づく情報をもとに、園全体で組織的に対応します。
- アレルギーのある園児と原因(アレルゲン)の把握
- 医師の診断に基づく「生活管理指導表」の確認
- 症状と、緊急時に想定される反応の共有
- エピペン等の緊急薬の有無・保管場所・使用方針
- 給食・おやつ・活動での除去や代替の連携(栄養士・調理職員と)
- 職員間での情報共有と役割分担
- 緊急時個別対応の手順(保護者との事前協議を含む)
医学的対応は最新ガイドラインに合わせる
与薬管理
与薬のルールは園・法人・自治体で大きく異なります。共通の安全プロセスを押さえます。
- 園・法人・自治体の与薬方針と、対象となる薬の範囲を確認する
- 必要書類(与薬依頼書・医師の指示に関する書類など)を確認する
- 受け取り時に、薬の内容・量・対象児・タイミングを確認する
- 本人確認を確実に行う
- 園のルールに沿って適切に保管する
- 実施時にダブルチェックなどで誤薬を防ぐ
- 実施内容を記録する
- 残薬の返却・管理を行う
与薬のルールを全国共通として扱わない
保健指導
発達段階に合わせて「短く・分かりやすく・体験的に」伝えます。
実際のマニュアルでは、0〜5歳児それぞれに発達段階に応じた年間テーマ(手洗い・歯みがき・排泄・咳エチケット・からだのはたらきなど)を設定していました。保育園の保健指導は、子どもの発達に合わせて「短く・分かりやすく・体験的に」伝えることが基本です。歌・絵本・イラスト・パネルシアターなどの視覚的な教材を使い、実施後には評価・振り返りを行います。
- 発達段階に合わせてテーマと伝え方を選ぶ
- 一度に多くを教えず、短く区切って伝える
- 歌・絵本・イラストなど体験的・視覚的な方法を使う
- 保護者とも内容を共有し、家庭と連携する
- 実施後に評価・振り返りを行い、次に活かす
年間保健計画・年間保健指導計画
健康管理・健診・保健指導などを、年間の見通しで整理します。
年間保健計画
健康管理・健診・保健活動・安全管理などを年間で整理します。
年間保健指導計画
0〜5歳児や職員への保健指導を年間で整理します。
職員への保健指導・研修
園のリスクや職員体制に合わせて、必要な研修を年間計画へ組み込みます。
保育園看護師は、園児だけでなく職員向けの保健指導・研修にも関わります。実際のマニュアルでは、次のようなテーマを年間で扱っていました。
- 嘔吐物の処理手順
- アレルギー児への対応・エピペンの取り扱い
- 熱性けいれんへの対応
- AED・心肺蘇生などの救命処置
- 感染症発生時の対応
研修の時期は園に合わせて決めます
保護者対応
事実・対応・現在の状態・次の行動を、分かりやすく正確に伝えます。
① 観察した事実
いつ・どこで・どうだったかを事実として伝える。
② 園で行った対応
園でどのような対応をしたかを具体的に伝える。
③ 現在の状態
現時点での子どもの様子を伝える。
④ 必要な次の行動
家庭でのお願いや受診の検討など、次に必要なことを伝える。
保護者対応のポイント
- 傾聴し、保護者の心配に耳を傾ける
- 専門用語を避け、分かりやすく説明する
- タイムリーに連絡する
- 「安心させること」だけを目的にせず、事実と次の行動を正確に伝える
- 医学的な診断を看護師個人が断定しない
診断を看護師個人が断定しない
保健書類・記録管理
事実を時系列で、誰が読んでも経過が分かるように記録します。
主な保健書類・記録
- 健診・身体測定の記録
- 発育記録
- 予防接種・罹患歴の記録
- アレルギー関連の記録
- 与薬の記録
- けが・事故・緊急時の記録
- 保健指導計画・年間保健計画
- 保健日誌
- 保護者への通知・保健だより
記録の基本
- 事実を明確に書く
- 時系列で分かるようにする
- 誰が読んでも経過が分かるようにする
- 観察した事実と、判断・解釈を混同しない
- 個人情報の取り扱いに配慮する
プール・水遊びの健康・安全管理
当日の健康確認と、監視に専念する体制づくりが重要です。
- 当日の健康確認(体調・体温・皮膚の状態など、園のルールに沿って)
- 監視に専念する担当を分けた監視体制
- 水質・衛生の管理
- 設備・環境の安全点検
- 緊急時の対応手順の確認
- 実施内容の記録
監視体制はガイドラインで確認
保育園看護師の1日の流れ
あくまで一例です。実際の流れや役割分担は園によって異なります。
登園時
- 職員間の申し送り
- 欠席・体調情報の確認
- 気になる園児の健康情報の把握
午前
- 健康観察
- けが・体調不良への対応
- 健診・身体測定などの保健業務
昼(食事)
- アレルギー関連の確認
- 食事の様子の確認
- 必要な健康対応
午睡
- 園の役割分担に応じた午睡中の安全確認
- 書類・記録の作成
午後
- 保健指導
- 職員への情報共有
- 保護者対応
- 書類作成
降園前
- 当日の処置・健康情報の整理
- 必要な引き継ぎ
すべてを1人で担当する前提ではありません
年間で行う主な保健業務
新年度の情報確認から次年度計画まで、年間の見通しを持ちます。
- 新年度の健康情報(既往歴・アレルギー・予防接種歴等)の確認
- 健康診断・身体測定
- 年間保健計画・年間保健指導計画の作成
- 保健指導の実施
- 職員研修
- 感染症対策(季節ごとの流行への備え)
- 水遊び・プールの健康・安全管理
- 季節ごとの健康課題への対応
- 年間の評価・振り返り
- 次年度計画への反映
仕事が重なったときの優先順位
法令で定められた順位ではなく、緊急性・安全性・時間制約で整理する考え方です。
① 生命・重大な安全に関わること
命や重大なけがに関わる事態を最優先します。
② 急変・けが等の即時対応
その場での対応が必要なことに対応します。
③ 時間制約のある医療・保健業務
与薬や健診など時間が決まっている業務を行います。
④ 園児の日常的な健康管理
健康観察など日々の見守りを行います。
⑤ 定例業務
決まって行う保健業務を進めます。
⑥ 書類・改善業務
記録の整理や業務改善などを行います。
あくまで実務上の考え方です
看護師だけで抱えないための役割分担
緊急対応・感染症・アレルギー・安全管理は、園全体の仕組みにします。
保育園看護師は1人配置のことも多く、「看護師だからすべて自分で処理する」という考え方は負担が大きく、安全面でもリスクになります。次のような相手と役割を共有し、園全体の仕組みとして対応します。
保育園看護師が確認しておきたい公的ガイドライン
医療・保健・安全の情報は、必ず最新の一次情報で確認します。
保育所保育指針・保育所保育指針解説
こども家庭庁
保育所の保育・保健活動の基本となる指針です。
保育所における感染症対策ガイドライン
こども家庭庁
感染症の予防・発生時対応の基本を確認できます。
教育・保育施設等における事故防止及び事故発生時の対応のためのガイドライン
こども家庭庁
睡眠中・食事中・プール活動中など重大事故の防止に関する内容です。
保育所におけるアレルギー対応ガイドライン
こども家庭庁
生活管理指導表の活用や緊急時対応の考え方を確認できます。
予防接種・ワクチン情報
厚生労働省
予防接種制度・スケジュールの最新情報を確認できます。
救命処置(心肺蘇生・AED)に関する情報
消防庁
心肺蘇生やAEDの手順は、最新の公的情報で確認します。
ガイドラインの名称・内容・URLは改訂されることがあります。実際に参照する際は、各府省庁の最新版をご確認ください。
よくある質問
「保育園看護師 マニュアル」でよく検索される疑問にお答えします。
保育園看護師はどんな仕事をしますか?
園児の健康観察・健康管理を中心に、健康診断、けがや急変時の応急対応、感染症対策、アレルギー対応、与薬管理、保健指導、保健書類の作成、職員への情報共有など幅広い業務があります。ただし、園の規模や体制によって担当範囲は異なり、看護師がすべてを単独で担当するとは限りません。
新人の保育園看護師は最初に何を確認すればよいですか?
まず園の緊急時対応フロー、119番通報や園長への報告体制、AED・救急物品の場所、園医・連携医療機関を確認します。あわせて、アレルギー児やエピペン等の緊急薬、基礎疾患のある園児、与薬対象児、予防接種歴の管理方法など、配慮が必要な園児の情報を把握します。園の既存マニュアルや自治体の運用を確認することが出発点です。
保育園看護師は1人で判断しなければなりませんか?
いいえ。緊急対応・感染症・アレルギー・安全管理などは、園長・保育士・園医・保護者・医療機関・自治体などと連携し、園全体の仕組みとして対応するのが基本です。看護師が1人で抱え込む必要はありません。
保育士と看護師の役割はどう分けますか?
園によって異なります。健康管理や保健業務に看護師が専門性を発揮しつつ、日々の保育や見守りは保育士と協力して行います。役割分担は園の体制・方針によって決まるため、勤務先の既存の取り決めを確認してください。
保育園看護師が用意しておきたいマニュアルは何ですか?
緊急時対応、感染症発生時の対応、アレルギー・エピペン対応、与薬の手順、健診の流れ、保健書類の様式などです。多くは園に既存のマニュアルがあるため、まずそれを確認し、不足があれば園の体制に合わせて整えます。全国共通の唯一のマニュアルがあるわけではありません。
けがや急変時はどのように対応しますか?
「安全確保→状態確認→応急対応→緊急性の判断と119番等への連絡→園長等へ共有→保護者連絡→記録→再発防止」という流れが基本です。具体的な応急処置の方法は、園のマニュアルと最新の公的情報(消防庁の救命処置情報など)で確認してください。
保育園看護師は保健指導も担当しますか?
多くの園で、手洗い・歯みがき・排泄・咳エチケットなどの保健指導に関わります。子どもの発達に合わせて短く分かりやすく伝えるのが基本です。テーマ別・年齢別の進め方はPICBOの保健指導ページ(/nurse1/)で確認できます。
年間保健計画は看護師が作りますか?
園によりますが、看護師が中心となって作成・提案することが多い業務です。年間保健計画・年間保健指導計画の書き方や実例は、PICBOの専用ページ(/planning8/)で詳しく解説しています。
与薬は看護師が担当しますか?
与薬の可否や範囲、必要書類は園・法人・自治体によって大きく異なります。「原則として園では与薬しない」方針の園もあります。共通して大切なのは、対象薬の確認・必要書類・本人確認・保管・記録・誤薬防止といった安全管理のプロセスです。勤務先の与薬方針を必ず確認してください。
まとめ
- 保育園看護師の業務は、健康観察だけでなく健診・緊急対応・感染症・アレルギー・与薬・保健指導・書類・安全管理まで横断する
- まずは園の既存ルールと緊急時の体制を確認することが出発点
- 看護師だけで抱えず、園全体の仕組みとして職員間で共有する
- 各業務の詳しい実務は、PICBOの専門記事で確認できる
- 医療・制度に関する情報は、必ず最新の公的情報を確認する
業務別に詳しく見る
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- 救命処置(心肺蘇生・AED)に関する情報(消防庁)
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